井草の森公園
杉並今川の街力
住宅アナリストの目による「街力」検証レポート
住宅アナリスト 山本 好延
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立地力
本物件の所在地は杉並区今川一丁目である。今川という地名は、1645年、戦国時代の武将・今川義元の曾孫にあたる今川直房に対し、徳川幕府が知行地として多摩郡上井草村などを与え、以後幕末まで今川氏の所領であったことに由来している。いまもその菩提寺であり、知行地支配の拠点でもあった観泉寺が、いまも今川二丁目に残っている。つまり新興の住宅地ではなく、「時代を超えて住み継がれてきた地」なのである。しかも近年、現地はかの日本銀行の社宅として利用されていた跡地であるという。土地の履歴の中で、これほどまでに歴史があり、由緒正しい立地は、あまり例をみないのではないだろうか。さらに都下ではなく「東京23区内」に立地し、住んでみたい沿線ランキングで、常に上位を競う沿線「中央線」の荻窪駅が最寄駅である。そして用途地域は、低層住宅の良好な住環境を守るために、もっとも厳しい規制がかけられた「第一種低層住居専用地域」。これだけでも十分注目に値するといえる。
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住環境力
中央線が、住んでみたい沿線として人気を集める理由は街のあり方、交通アクセス、生活利便性の素晴らしさにある。街のあり方をみると、駅前にスーパーと商店街、銀行があり、いつ訪ねても行き交う人が多く、賑わっている。しばらくすると、規模の小さい集合住宅があり、やがて公園、総合病院、小学校など、自然、医療、教育施設などが設けられ、それらを取り囲むように一戸建て住宅街が広がっている。一戸建て住宅街は、駅からつかず離れずの程よい環境の中に立地している。この街のあり方は、実はオーソドックスだが、結果として「暮らしやすい住環境」の街となっているのである。中央線沿線の駅周辺は、そんな街が多く、だから人気があるのである。本物件はどうか。最寄りの荻窪駅には、駅に直結した流行の先端を行くルミネ荻窪や、昔ながらの商店街を再開発した荻窪タウンセブンがある。もちろんスーパーや総合病院などにも近い。少し足をのばせば、善福寺川公園もあるなど、暮らしやすい住環境である。交通アクセスも恵まれている。荻窪駅は、中央線快速のほかに、総武線、乗り入れの東西線が利用できる。そして何よりの丸ノ内線始発駅なので、都心へ座って通勤も可能である。また西武新宿線井荻駅も最寄駅である。
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企業力・物件力
「売り主の企業力」と「物件力」にも注目したい。売り主は近鉄不動産。ご承知のように、関西を代表するデベロッパーの雄だが、近年、首都圏での分譲に力を入れ、注目を集めている。これまでも用地取得の確かさ、ランドスケープデザイン、街並み形成の素晴らしさ、オリジナリティを追求した間取りなどに定評がある。ちなみに本物件は全15邸で、アーキテクト、エクステリア、インテリアに3人のプロデザイナーを採用、外観デザインや全体計画など、デザイナーハウスにふさわしい住空間が実現。「物件力」も確かである。